Obsidian+Webdavでストレージサービス非依存のノート環境を用意した話

 

はじめましての方ははじめまして。
EEIC Advent calendar の12日目の記事です。

qiita.com

大遅刻かまして本当にごめんなさい。

本当はマイコンの話を書こうと思ったのですが、今日に至るまで十分なネタがたまりませんでした。カレンダーに2枚目も出来たのでもし25日までに間に合えば公開しようと思います(BDMもあるのでESP32の紹介・導入+tipsを書きたかった)。

代わりに最近Obsidianを利用してローカル環境のみにデータを残しながら各デバイスでデータを連携させたノート環境を構築したので、そのモチベーション+環境構築について書こうと思います書きました。

ここからしばらくなぜそれを実現したかったか長く鬱陶しい前置きが続きますので、物好きな方以外は「実際の環境構築について」まで飛ばしていただけますと幸いです。

 

長くくどい前置き

さて、皆様は電子媒体でメモやノートを取るときどのようなサービスを利用していますか?

 

Notionのようなツールを活用する方もいれば、スマホのメモアプリを利用する方、あるいはDiscordに自分用のサーバを用意しそこに記入していく方もいらっしゃるかもしれません。

 

この内、ある一つのローカル環境のみでデータを扱う場合を考えると、そのデバイスを紛失・破損した場合今までの記録を失ってしまう事になります。これは紙媒体に物を書き溜めていく場合も同様のリスクがあると考えられます。ある日自分の書き溜めてきた全ての文書にアクセスできなくなるのは、直近のタスクに大きな支障をきたすだけではなく、かつて書き溜めたものから過去の自分の足跡を辿って自分自身の連続性を確かめるといった事も出来なくなり、中々辛いものがあります。

 

ではストレージサービスやクラウド上にデータをアップロードするようなサービスはこのような悩みから無縁かというと、そうではなく、むしろ状況は悪化すると考えられます。こう述べる理由は、これらのサービスを利用した際、データはあくまでも営利企業との契約において存在を保証されるものであり、それ自体が存在している訳では無いと考えるからです。

 

データはあくまでも企業上のサーバのストレージ上に存在し、ユーザは限られたインターフェースを経由してそれを扱う事となります。UXとストレージが統合されて提供されている場合は、そもそもユーザの眼前に存在するものは仮想の存在であり、データ自体をダウンロード出来たとしてもそれはサービス上で扱っていたそのもの足り得ない訳です。いわば、契約が正常状態で履行されている時に限りユーザの眼前に仮想的なデータが存在しているのです。特定サービスのみに依存してしまうという事は、自分の手元には実際のデータは一切なくなる事と同義と言えるでしょう。

 

企業が突然その機能を停止すればデータは仮想的にすら存在しなくなる訳ですし、またインターネット環境が失われた場合も同様です。さらに、こちらに落ち度が無いと考えられる場合ですら全て消えてしまうがあります。

 

例えば、Google Driveだと自分の子供の写真をアップロードしていた方や兵器の歴史の研究に用いていたデータを他の研究者と共有していた方がアカウントをロックされたという話が以前話題になっておりました。このような人間が判断した場合は誤っていると判断されうるようなアカウント凍結は、一つの企業が扱うデータ量が膨大で、かつ増え続ける以上は存在し続けるでしょう。人間の権能をプログラムが上回る事がない限りは、ユーザが納得出来る判断をプログラムによる自動的な処理では実現できないのだろうと思います。

 

このような状況から脱し、かつ利便性を維持する現実的な解決策としては、「定期的にローカル環境にデータ本体を取って置きながらサービスを利用する」 というところに落ち着くのでしょうが、正直面倒ですし、さっき申した通りバックアップしたデータと仮想的なデータとの間には差が生まれうる訳で、はてどうしたものかとここしばらく悩み続けていました。

 

そういう折に、Obsidianの有志が開発したプラグインを使えばメジャーなストレージサービスだけでなく、Webdavを通してローカル環境のストレージにほぼリアルタイムでデータを同期しておける事を知りました。Obsidian本体も使いやすいマークダウンエディタという印象で、私個人としてはグラフビューはそこまで活用しないだろうなと考えると仮想的なデータといざという時に残るデータとの乖離も小さいだろうと考えられ、スマホ・PCでシームレスに連携でき、かつデータの実体も常に手元にある状況を実現出来る訳でかなり理想的な環境に見えました。

 

幸い私は既に手元にWebdavでアクセス可能な環境があります。

 

EEICには試験や院試の過去問、五月祭の際に用いたデータの共有にpydioによるオンラインストレージを用意しているのですが、試験前などはアクセスが集中するのかかなり重たい印象を受けていました。

そこで自分自身で自宅に立てたサーバにWebdavアクセス可能な環境を構築し、試験的に学科民に提供していたのですが、ちょうど良いのでこれを流用する事にしました。

 

という訳で前置きがめちゃくちゃ長くなりましたが、ここから本題です。

実際の環境構築について

ここから、自分の構築した方法を紹介していきます。なお、webdav経由でアクセス可能なストレージの事をwebdavと略している場合があるのでご了承ください。

 

まず、サーバですが、私は既に立てていているものがあったので流用しました。OSは Ubuntu 22.04 です。もしまだ用意が無い場合、最近だと N100 のような十分なスペックのCPUを積んだミニPCが通販で比較的安価ですのでこれを利用するのが良いかもしれません。参考までに、私が利用しているサーバは、

・CPU:i5-4590

・メモリ:32GB

で、光の1ギガの回線を利用していますが、Webdav を利用する上ではストレスを感じた事は無いですね。メルカリや秋葉原のジャンクショップでパーツを集めて組んでます。

自宅サーバ、なお引っ越してさらに配線が汚くなった

常時稼働させる事にはなるので一応電源は新品を購入しています。もちろん予算が潤沢にある場合はPCを一つ買うなり新しく組むなりしてしまうのもアリでしょう。ネイティブのLinux環境があると割と便利だったりします。NASによってはそもそもWebdavによるアクセスが用意されているようなので、これを利用するのも手の一つでしょう。

 

ルータに関しては、恐らくWebdavを個人で利用するだけなら一般的なものでも問題なく機能すると思います。サーバとは有線で接続し、ローカルのIPアドレスを固定で割り振り、Webdav構築後ポートマッピング機能でLAN内のサーバとWANを繋げればそれで十分でしょう。私はヤフオクで入手したIX2215を利用しています。一応NECのIXシリーズやYamahaのRTXシリーズなどは業務用とされている中でもヤフオク等にて格安で入手しやすく、かつネット上の情報も多いので興味のある方は調べてみてください。

 

Webdavの実現については、Pydio Cells というものを利用する事にしました。選定理由は単にEEICのdavもそうだったというだけですので、割となんでも良いと思います。調べるとowncloudというものもあるようです。

pydio.com

環境構築を行う前に、自分でドメインを取得するか、DDNSサービスの登録をしておきましょう。宅外からアクセスする際に便利です。この辺りの手順に関しては、Webdavの構築方法で調べるよりも、マイクラVPNDDNSを使う方法を検索して、そこから流用してくるのが良さそうです。数の多さはwebでは正義らしいです。

 

Pydio Cellsの環境構築については、基本こちらの公式のドキュメントを参考にしました。

pydio.com

Let's encrypt の登録を前提にしているので、先に済ませるとスムーズです。この辺り構築にかなり苦労した記憶があるのですが、直ぐに思い出せないので思い出し次第追記しておきます。 (2023/12/14追記:確認すると上記の手順の中で自然にSSL化出来るようになっているようです(画像参照)。

ただ、確か最初の一回で何故か成功せず、試行錯誤しているうちにもう一度同じ手順を繰り返すと成功した事を覚えています。「Let's Encryptを前提」というよく分からない言葉は、この試行錯誤で「実はここではSSL化出来なくて、別途行う必要があるのでは?」という疑念が生じていたその記憶だけ残っていたのとサイトの誤読が原因だったようです。申し訳ございません。)

上のサイトの中のConfigurationについてはブラウザ上では行わない事をおすすめします。

 

ここまででWebdavを自宅外からも利用出来るようになったら、いよいよObsidian本体との連携です。基本的にPydio Cellsを前提にしているのでご了承ください。

まず、Obsidianの設定からCore Pluginに向かい、Bookmarksを無効化しておく事をおすすめします。この理由については後述します。

Obsidianのインストール後、Community Pluginに行き、これを有効化したあとRemotely Secure (何故かgithub 上では Remotely Sync をインストールし、有効化します。

設定画面に向かう前に、Pydio Cellsの管理者用コンソールで任意の名前のワークスペースを新規に設定しておきましょう。この理由は後ほど言及します。

Obsidianに戻った後、Remotely Syncの設定項目を入力していきます。


黒塗りの部分は上からhttps://<サーバアドレス>/dav, Pydio Cells のユーザ名とパスワードです。

ここで、Changes The Remote Base Directory について、先程設定したワークスペースの名前に変更します。confirmボタンを押すまで反映されないため注意しておきましょう。Remotely Syncはどうも<サーバアドレス>/davの時点で大元のディレクトリに アクセスされるような状況を想定しているようなのですが、Pydio Cells の場合/davの下にまずワークスペース名が来るので、この設定が必要です。なお、このためワークスペースの直下にそのままファイルが置かれるため、Pydio Cellsを普段使いされる場合はアカウントを分離しておきましょう。

同期のタイミングについては私は以下のように設定しています。

たまに同期に失敗する事があるので、Debugに関してはOnにしておく事をおすすめします。どのファイルで失敗しているのか分かるので対応が容易です。


基本的にはこれだけで同期出来るようになるのですが、一点注意が必要です。どうもRemotely Syncは隠しファイルを同期するかを設定で選べるはずなのですが、何故か.obsidianフォルダ内のbookmarkを管理しているjsonについて同期を試みようとしている形跡がありました。Pydio Cellsは隠しフォルダ/ディレクトリをサポートしていないので、このままだと同期に失敗します。私はBookmarkを無効にし、当該jsonファイルを削除する事で解決としました。

 

以上でローカル環境にデータを置きながらどのデバイスからもノートを編集出来る環境が構築出来ました!お疲れ様です。

この環境でサーバが動作を停止したとしても各ローカル環境のデータは残りますし、逆の復旧も容易です。後はぼちぼち他の媒体からここにデータを移していきましょうかね。

 

ほなまた。

 

 

 

 

ダニング・クルーガー効果っぽい何か a.k.a. ハイプ・サイクルっていうお話

インターネットでこんにちは。

突然ですが、皆さんはこんなグラフを見たことはありますか?

ソース:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Dunning%E2%80%93Kruger_Effect_01.svg

 

「完全に理解した」「なんも分からん」等の言葉と共に見かけることも多いこちらのグラフですが、一般的にこれはダニング・クルーガー効果という言葉と結び付けられている事が多いです。ほんのちょこっとかじっただけですぐに全能感に浸ってしまうのは人々に共通なのか、言語を問わずインターネットのあちらこちらで見かけますし、皆さんも恐らくそうだと思います。

 

しかし、ご存知の方も多いかもしれませんが、このグラフは2000年のイグ・ノーベル賞に選ばれた David Dunning と  Justin Kruger による「謙虚な論文」には一切登場していません。では、こちらのグラフの出どころはどこで、一体何者なんでしょうか。

 

今回のブログではそれを私にできる範囲で調べていこうと思います。

 

ダニング・クルーガー効果のおさらい

2000年のイグ・ノーベル賞に選ばれた論文 "Unskilled and Unaware of It: How Difficulties in Recognizing One's Own Incompetence Lead to Inflated Self-Assessments" のAbstractには、

People tend to hold overly favorable views of their abilities in many social and intellectual domains. The authors suggest that this overestimation occurs, in part, because people who are unskilled in these domains suffer a dual burden: Not only do these people reach erroneous conclusions and make unfortunate choices, but their incompetence robs them of the metacognitive ability to realize it.

と書かれた部分があります。

「無能な人が自分の能力を過大評価する原因には単に誤った結論を出し不幸な選択をすることだけでなくて能力不足によってそれを認識するメタ的な能力の不足もある」とか言ってるのを改めてみると中々凄まじいものがありますね。

それはさておき、ダニング・クルーガー効果は別にあらゆる能力の人とその自己評価を射程範囲とするものではないという事が何となく分かると思います。有能な人(今回の実験では特定の能力を測るテストで上位1/4の群)以外の人は一律に自分の能力を過大評価する傾向にあり、ことそれは無能な人(特定の能力を測るテスト下位1/4の群)で顕著であるというのがこの論文中の実験で見られるダニング・クルーガー効果であると私は理解しています。元々立てている4つの仮設の主語が無能な人(そしていわば無標として扱われているのが有能な人)な点からも、また最後の結論の部分を見てもそれは正しいのではないかと思います。これを踏まえると、いわば「完全に理解した」から「チョットデキル」まで一つのグラフにしてダニング・クルーガー効果と称するのは違和感があります。

 

そうでなくとも曲線の形がなぜああいう風になるのかがこの論文からは自明では無いです。例えば有能な人はグラフを見るに自分の能力を過小評価する傾向にあるかもしれないことまで読み取ってグラフを書くとしても、その自己評価と能力はどういう関係にあるのかは自明ではありません。極端な話、例えば「チョットデキル」段階の人の自己評価を一定の値のままにすることも考えられるはずです。

そもそも、有能な人の群と無能な人の群の比較で見える性質を一人の人の理解度に対する自己評価の推移といった「時系列」のような要素を入れてしまっている時点で、また元の論文で扱われているデータと異なり縦軸を定量的とは言い難いものにすり替えてる時点で結構トンチキなグラフなんじゃないかと私は思う訳です。

 

そういう訳で、このグラフはエピングハウスの忘却曲線の縦軸の意味が違うとかいう次元の間違いではなく、より致命的な錯誤を含んでいると言えるのではないかと思います。

 

本題:じゃあこれってどうして生まれたの?

まあタイトルでネタバレしちゃってますね、はい。

it.impress.co.jpガートナー ジャパンは2022年8月16日、米ガートナー(Gartner)が同年8月10日に公開した先進テクノロジーハイプサイクル2022年版の日本語版を発表した。

 

これがダニング・クルーガー効果「っぽい」グラフの正体なんじゃないかと私は考えてます、というかハイプ・サイクルと例のグラフが非常によく似ている事を知っていたり、さらにそれが単なる偶然では無さそうということを考えていた人はこれを読んでいる方の中にも割といらっしゃるんじゃないでしょうか。

 

ハイプ・サイクルというのはガートナー社が考案したものであり、

www.gartner.co.jpテクノロジとアプリケーションの成熟度と採用状況、およびテクノロジとアプリケーションが実際のビジネス課題の解決や新たな機会の開拓にどの程度関連する可能性があるかを図示したもの

らしいです。こちら1995年から毎年発表されています。さて、何故これが例のグラフの正体と考えるのかというと、

  • 時系列として、ダニング・クルーガー効果に関連する論文の発表より前から存在する
  • グラフの形及び各場所を指す言葉が著しく類似している

この2点です。後者についてですが、先に挙げた日本語版のサイトの元となった英語版のサイトに以下のようなグラフがあります。

ソース:https://www.gartner.com/en/documents/3887767

いやなんで"slope of enlightenment"が被るのよ。他の部分も絶妙に意味や語感が似てて、面白いですね。まあともかく、流石にこれを偶然の一致とするのは無理があるのかなと感じるわけです。

 

恐らく、誰かがこの独立した2つを結び付けたのでしょう。じゃあそれは誰で、いつの事だったのでしょうか。

 
ハイプ・サイクルが「ダニング・クルーガー効果」になる時

ここからはとにかく画像検索しまくって初めて例のグラフがダニング・クルーガー効果と結びついたタイミングを探しました。その結果、以下の2014年のサイトが見つかりました。

josephparis.me

このサイトに、現在広く広まっているようなダニング・クルーガー効果っぽいグラフの中で一番古いものが載せられています。この中には hype cycle という言葉自体現れませんが、例えば以下のグラフ、

 

これは以下の hype cycle のモデルの説明に使われるグラフに酷似しています。

ソース:https://www.researchgate.net/publication/224182916_Scrutinizing_Gartner%27s_hype_cycle_approach

 

また、hypeという単語自体はこのモデルの説明を含むサイトの文章中に何度か登場し、著者はハイプ・サイクルになぞらえてダニング・クルーガー効果を説明しつつもその存在は隠匿しているような印象さえ受けます。

なおこの著者、サイトの中で以下のようなグラフを登場させています。

 

うーーーーーーーーん。まあこのグラフを置いたとしても、流石に "In my opinion, the Dunning-Kruger effect is, in fact, a variant application of the Hegelian Dialectic" の一文は見逃せませんし、何より弁証法の説明で出てくるインターネットを使った例ってまんまハイプ・サイクルに置き換えられるよな???

 

やっぱりこのサイトでハイプ・サイクルの存在を隠しつつこれになぞらえてダニング・クルーガー効果が説明されてしまったために、どんどんこれが広まってしまったと見るのが適切なんじゃないかと思います。これ以前に"slope of enlightenment"のような名前の付いた例のグラフなんて存在しない一方で、これ以降にはぽつぽつ登場してる事からもこの推論が妥当なんじゃないかと私は思います。

 

さて、その一方で、この著者は0からダニング・クルーガー効果をハイプ・サイクルと結び付ける事を思いついたのでしょうか。正直言って結構それは厳しいのではと思っています。何らかの発想の土台があったんじゃないかなと。

 

この時に注目したいのが2011年のこちらのサイトです。

www.forbes.com

ハイプ・サイクルに由来すると思われるようなグラフこそないものの、形自体は非常に類似したものが登場していますね。ただ、この時点ではこのグラフはそこまで強くダニング・クルーガー効果とは結び付けられていないように思われます。縦軸が"口を出したがる度合い"ですし、記事中にダニング・クルーガー効果への言及も見当たりません。ダニング・クルーガー効果を知っている人が関連を見いだそうとすれば見いだせるかな、位ですかね。ただし、このサイトで紹介されているこの画像がこれ以降ちょくちょく言及されていること、"mount stupid"という先の記事で象徴的だった言葉が登場していることには注目したいです。

 

あるいは、次のようなものも見つけられます。

 

confrontingmediocrity.net

こちらは私が探せた中ではダニング・クルーガー効果をハイプ・サイクルに似たグラフで表現した最初のものです。ただし、ここに先に述べたようなハイプ・サイクルに由来するであろう各部位の名前は付けられてないですし、それを参照した形跡は見つけられないですね。

 

状況証拠しかない状態で推論するのもどうかと思いますが、こういった記事に「インスピレーション」を受けながら例のダニング・クルーガー効果とハイプ・サイクルが悪魔合体したグラフが出来た。というのが私の現状の結論です。

 

とはいえ、私自身はただの物好きの大学生で専門でも何でもないので、このブログが正しい保証はなんもないです。それに、今回調べた対象はインターネット上のサイトですが、海外の書籍かなんかで初登場とかしてたらもうどうしようもないですね。

 

それではまあこんなところで。ほなまた。

 

余談1

何と例のグラフの初出サイト、know your memeで紹介されてます。

knowyourmeme.com

ここのSpreadの欄に書いてありますね。

最初からここ見とけば大分調べるの楽だったんやろうなあ…

余談2

ダニング・クルーガー効果とハイプ・サイクルの関連性について言及するサイトは別に過去にもあります。が、それらはダニング・クルーガー効果っぽいグラフの信頼性は疑わずにその類似性の説明を試みようとするものが多いです。なんでやねん。

余談3

英語版wikipediaの"hype cycle"の説明に、以下のような記述があります。

The hype cycle is based on the same model as the Dunning–Kruger effect, which is applied to individuals' confidence in their abilities instead of technologies' visibility.

これは多分例のグラフを意識して書いてしまってて、誤りと言えるんじゃないかなあと思われます。みんなグラフの方は疑わないのかな。

2022年度版大学生向けノートパソコンの選び方~前編~

 こんにちは。はじめましての方ははじめまして。Rosyといいます。

 

 先日、浪人していた高校同期(無事第一志望に合格してました、マジおめでとう)と話していたとき、大学に向けどんなノートパソコンを買えばいいのかという話になりまして。

 その時はそいつの用途を抑えつつ色々アドバイスをして終わったのですが、その後ネットではどんなアドバイスがされているのか気になりまして。 それで調べたところ、いくつか気になる点があったんですよね。

・初心者に向けて丁寧に書いてるものが少ない(特に説明もなくいきなりcpuはこれがいい、メモリはこれぐらいなど書いている)

・(上と被るが)説明が端折られてたりする

・微妙に情報が不正確なものがある

・説明と実際に提示している商品に乖離がある

・(TwitterなどのSNSにおいて)「〇〇はやめろ!▲▲にしとけ!」という割には何故なのかがイマイチ説明されていないことがある

 そして、一番気になったのは

・コロナ禍における大学での活動の変化が反映されていない

 こんなところでしょうか。まあPCに詳しい人とかが周りにいればそれでいいんですが、そうでない人はこういう情報で最初の一台目のpcを選ばなきゃならないのかって思ったんですね。私も別にPCに詳しい訳ではないんですが、ちょうどいいネタですし、ここで一つじゃあ私も書いてみようと。

 そんな訳でダラダラと書いていきます。前後編に分けて、この前編では基本的な知識の共有と予算に10万〜20万位の余裕がある(つまり、所謂「生協のノートパソコン」を買う選択肢が金銭的な理由からは即切りされない)人向けのノートパソコンの選び方、後編では「そんな金ねえよ!」って方のための選び方をやっていく予定です。

 

大前提として:PCは大学生活に必要なのか

 必要です。というか大学によっては、1人1台PCを持つことを必須としていたりします(参考:https://utelecon.adm.u-tokyo.ac.jp/docs/byod) 。

 そうでなくても、pdfファイルでの資料配布やオンライン上のツールを用いた小テストの実施や課題の提出、あるいは既存のコミュニケーションアプリを用いた生徒への情報提供や教員とのやり取りなど、現状大学は生徒側のIT環境を教育の前提にしています。これは今後もほとんど変わらないでしょう。 また、コロナ禍において主流となった映像授業ですが、これは対面授業がメインに戻ったとしても大学生活の一部として残り続けると思われます。

 「でもそれってスマホタブレットで何とかなるんじゃない?」って思われた方もいると思います。実際、ある程度何とかなることにはなると思うのですが、これしか無いのはかなり厳しいように思われます。 この辺のデバイスマルチタスク(参考資料を開きつつオンライン授業を聞き、その内容をテキストファイルにまとめる等)を行うことがハード・ソフトの構造上非常に難しいです。また、環境にもよりますが、ファイルの操作・やり取りの勝手もpcに劣っていると感じます。

 別に大学が全体に一律に用意している訳ではないにも関わらず、最早大学生にとってpcは商売道具みたいなものです(一応経済的に困難な学生へのPC購入支援を大学がしてるケースもありますが)。この辺に対して私個人色々思うところがあるのですが、まあそれはさておきそんな訳でpcは大学生活に必須だと思います。

そもそもノートパソコンって中身どうなってんの?

 ではまあ実際のpcの話に入りましょう。まずは各パーツの解説からしていこうと思います。興味が無ければここはスキップしてください。

 ここではパソコンを作業部屋に例えつつ解説していこうと思います。

CPU

 パソコンで演算・制御を担当する中心的な部品です。演算とかいってますが要は作業部屋で実際に作業を行う人ってところです。
 多分皆さんがノートパソコンを選ぶ際によく見かけるのは大体この辺かなぁと思います。
 intel

     ・celeron
     ・core i3
     ・core i5
     ・core  i7
 amd
     ・ryzen 3
     ・ryzen 5
     ・ryzen 7
 他にもいっぱいあるんですが、まあ取り敢えずこの辺で。実際には、さらにその後に番号なんかが続けて示されてたりします(i5 1135g7みたいな感じ)。この後の番号の最初の1,2桁目がそのCPUの属する世代を表しています。intel製のcpuならi5 1135g7で第11世代,i5 8250uで第8世代と分かりやすいんですが、ryzenの場合はちょっとややこしくて、ここの番号と世代の数が一対一で対応していません。気になったらググってみてください。ちなみにintelの方は最新のが第11世代、amdの方は第5世代です。例外もありますが、同じi3とかi5ならおおよそは世代が新しい程性能が良いです。
 それでこいつら全部同じcpuなんですが、何が違うのかっていうと、大きいところでは「クロック数」と「コア数(スレッド数)」です。
 「クロック数」は作業部屋で作業する人一人あたりの作業速度で、「コア数」はその人数です。両方多い方が作業部屋全体の生産性が高い訳ですね。「コア数」と紛らわしい概念として「スレッド数」というものがあります。これは作業部屋で同時にこなせる作業の数です。「え、それは作業人数じゃないの?」と思われる方もいるかもしれませんが、ほら、よく「私マルチタスクが得意なんだよねー笑」みたいなことを言う人がいるじゃないですか。コアもマルチタスクさせることが出来たりするんですよ。だから、「コア数」と「スレッド数」が異なる訳です。

メモリ

 一時的にデータなどを置いておくところです。作業机なんかと捉えていただけるとよいかなと思います。

ssd/hdd

 データを保管しておくところです。スマホでいうところのストレージで、本棚や材料置き場みたいに思っていただけるとよいかなぁと。ssdの方がかなり高速ですが、hddには大容量でも安価っていうメリットがあります。後ssdは書き込める回数の上限が予めあります。上限って言っても、一般的な用途で使ってたら基本5年位は持つと思いますが…。
 パソコンで何か作業をする時は、ssd/hddに保管されてるデータを作業机であるメモリにドカッと持ってきて処理をするんですが、この机が小さいとスペースが足りないから頻繁にデータを棚に片付けたり出したりをしなきゃいけなくなる訳です。ところがssd/hddのデータの読み書き速度ってメモリのそれに比べてかなり遅いんですよ。ですから、こういう状況になってしまうとパソコンの処理にかなり時間がかかってしまうという訳です。あと、棚や資材置き場が小さいとそもそも置けるもの自体が少なくなりますね。

 

 取り敢えずこの辺を分かって置くだけで、大分パソコンのスペックの話が入ってきやすくなると思います。

じゃあ、結局何を選べばいいの?

 では、実際にどんなノートパソコンを選べばいいのか、どう探せばいいのかについて書いていきます。最初にも書いた通り、この前編は10万~20万の予算がある人向け、後編はそんなに出せないって人向けです。以下、いくつかのパターンに分けますが、これらは全て「ある程度予算がある」前提で書いているものということは留意してください。

ケース1:パソコン本当に初心者で、かつPCを壊してしまう自信(?)がある

 生協の推奨しているpcを選びましょう。あれは、普通に買うよりもそれなりに割高ですが、サポートが手厚い印象です。何かあったときに販売店なんかではなく大学内の建物に行けばいいというのも一つのメリットでしょう(大学によっては違うかも)。

 世の中では「生協のpcはクソ!高すぎw」みたいな言説が広まりまくっていて、とかく敬遠されがちですが、初めてpcを使う大学生がスペックに大きな不満を感じるようなものではなく、十分な一品です。特に壊す自信(?)のある方はこれを選べば良いと思います。ちなみに一般的に新品のPCを買えば1年間は保証が付いてきます(延長が可能な場合もある)。個人的には1年間PCをそれなりに使って何も壊さなかった人は多分4年間特に壊さずに使えると思うのですが…まあこれは単なる私の意見です。

 逆に言えばそれ以外の理由で、例えば単に初心者だからという理由でこれを選ぶのはおすすめしません。パソコンの使い方の講座が付いてきたりするのでそれが魅力的に見えるかもしれませんが、実際に自分で動かしてみたり分からないことを自分でネットで調べて(今の時代多少専門なことでもパソコン関連のことなら調べたら大体出てきます)解決するというサイクルを今のうちから身につけておくと今後にとっても良いと思います。


ケース2:ケース1に当てはまらず、学校がOSを指定(推奨)している場合

そのOSが搭載されたpcを買いましょう。確認しておくと、OSはpcの基本的なソフトウェアのことで、スマホではIOSAndroidが有名ですね。pcではWindowsMac OSが主流ですが、ここが違うとpcの各種環境構築のやり方とかが色々変わってくるんですね。だから、そういう大学の授業で先生に指示された手順ではソフトなんかが扱えず途方に暮れる…なんてこともあるわけです。この指定が無い場合は大体の場合(たまに教える側が環境の違いに対応出来ない場合はあるけど)どっちを選んでも問題は無い…と思います。少なくとも私が在席する大学ではそうです。なお、Mac OSは基本Appleのpcにしか搭載されてません、参考までに。 具体的なスペックなど何を選べばよいかはケース3を参照していただけると良いです

 

ケース3:ここまで(特にケース1に)当てはまらなかった方

 結論からいうと、
  cpu:intelなら第10世代以降のcpuでi5以上
         ryzenなら第3世代以降のcpu
  メモリ:8gb以上(可能なら16gb)
  ssd:512gb以上(hddのみは不可)
  本体重量:1.5kg以下
  バッテリー:15時間以上
位のものを選べば、大学生活で困ることはまずないと思います。もし、学校が推奨スペックを指定していてこれより上のものがある場合はそちらに合わせてください。
 cpuの性能は、どの大学生も使うようなソフトが快適に動作し、多少重たいソフトでもそれなりに動かすことが出来る位です。

 メモリで8gbというと、zoomを開きながらoffice系のソフトやブラウザを立ち上げて作業をして埋まるか埋まらないか位の量です。実際これで足りるといえば足りるし用途的にはこれが定番なんですが、折角初めてpcを買うなら余裕を持たせて買ったほうが将来多少重たい作業をするとなっても快適にこなせると思います。

 後からメモリを別で買って増設すればいいよってアドバイスする人もよく見かけるんですが、今どきのノートパソコンはメモリが事実上交換不可能な仕様になってることが多いですし、そうでなくてもパソコンの保証が外れることが多いのでパソコンを初めて買う人皆には勧められない選択肢だなぁと思います。でもまあ確かにノートパソコンの裏蓋を躊躇なく開けれる人なら8gbのノートパソコンの中からメモリ交換可能なモデルを探してみるといいのかもしれません。

 ssdは256gbでもソフトを入れまくらない限りなんとかなるにはなるのですが、恐らく動画や画像は別の媒体に保存しないと直ぐに足りなくなるため若干不便ではあると思うのでこのサイズにしました。hddのみ搭載しているパソコンだと起動や読み込みが遅くて使えたもんじゃないので避ける方が無難でしょう。あ、メモリは4→8→16,ssdは128(120)→256(240)→512(480)と増えていくことが一般的で、間はあまり無いですね。念の為補足しておきます。
 重さも大学生が普段使うパソコンなら重要視したい要素です。毎日キャンパスに持っていくことを考えるとあまり重たいものを避けるほうが良いでしょう。2kgを超えるものになると、それなりに重たさを感じる印象です。
 それで、バッテリーについてです。まず、大前提として知っておいてほしいのは15時間と書いていてもその時間はほぼ確実に持たないということです。バッテリーでの稼働時間を測るときにどういう状況で行うかにもよるのですが、実情とはかなり差があります。去年私は10時間バッテリー駆動可能という文言を信じて新しいpcを購入したのですが、zoomで90分の授業を2回受けると満タンだったバッテリーが1数%になってしまうという苦い経験があります。大学にも学生が使えるコンセントがあるとは思いますが、必ずしも全員に十分な量あるわけでは無いです。対面とオンラインのハイブリッドになると大学のキャンパス内で講義を受ける機会も多くなると思うので、それなりにバッテリー容量が大きいものを選ぶ必要があるでしょう。

 ちなみに、USB PD という規格に対応した USB type C ポートを持つノートパソコンを選べば、モバイルバッテリーからPCを充電出来たりします。こういうものならばバッテリー駆動時間が10時間位であっても何とかなるのでは無いかなと思います。

  このラインのスペック(メモリは16gbとして)を価格コムで指定して検索すると大体約10万円のものから見つかります。後はレビューなり保証なり参考にしつつ選ぶと良いのではないかなと。ちなみにWindowsの場合初めて買うなら10,11のどちらでも良いと思います。

 

 今回はこんなところにしようと思います。後編ではこれより予算が取れない場合の選び方、何を何処まで削ればいいかのアドバイスを書こうと思います。

 

 ほなまた。

初めまして

こんにちは。はじめましてましての方ははじめまして。この度前から書く書くといって全く作らなかったブログをようやく開設しました。

 

しばらくははてブロでやりますがその内自分のドメインとかとってやってみたいですね。まあそんな訳で、ほなまた。